三段全段差動プッシュプルアンプ_6P43P-E(その3)

部品を買い集めたので、先ずは電源部の部品配置を現物を確認しながら書き込んでみました。

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ケースに入れた時の配置を考慮して片側8Pのラグ板を2枚使用としました。上側のラグ板で出力段の電源までを構成していて、下側のラグ板でドライバ段の電源と負電源を構成しています。初段の電源は入りきらなかったので初段の回路側と同じラグ板に乗せる計画です。FETはかなりの熱を持つ見込みなのでシャーシに貼り付けます。

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上段部を組み立てて、154mA相当の電流を流す想定で470Ω/20Wのセメント抵抗を3つ直列に繋いでその時のFETのドレイン側を測定してみたところ、234Vとなりました。電源トランスのヒーター端子にも同様に3.9Ω/20Wの抵抗を2回路分付けています(片チャネル = 0.625A x2 + 0.4A)。220Vを出力するとして、本番ではFETで (234 - 220) x 0.154 = 2.156Wを消費することになります。

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一気にもう片側の電源部を組み立てました。実験中に立てておくためにスペーサの先に貼付け式ボスを付けてこけにくくしています。


ここまで来たら、一気に作成です。
初段部の回路と電源回路を1つのラグ板に乗せることにしました。

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ドライバ段、出力段の回路は真空管という事もあり、アルミ板の端切れを使って仮組をしました。段間のコンデンサですが、少し大きな物を使用しているので、実際にケースに取り付けた時を想定して、Lラグの端子から上側に向けて取り付けています(使用時は下向き)。こうする事によって斜め方向ではなく垂直方向しか力(自重)がかからなくできる目論見です。

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電源トランス、出力トランス、入力RCAコネクタ、ボリューム、ダミーロード(セメント抵抗8Ω)を接続して電源ONで各箇所の電圧チェックを行い、おおよそ設計の通りに成っていました。NFBも位相を考えて配線したのが功を奏したのか発振することなくスムーズに作業が行えました。ここまで来ると若干心に余裕ができてきて、NFBの量を調整少し調整箇所をいじってみましたが、ぺるけさんが言われている通り、PMF-25Pでは周波数特性が120kHz以上から暴れてくるようになりました。

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このバラック状態では細かく特性を取りながら調整してもあまり意味がないと思い、次はケース加工に移ろうと思います。
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三段全段差動プッシュプルアンプ_6P43P-E(その2)

増幅器部分(アンプ)の回路設計はとりあえずできました。この増幅器に接続する電源を考えていきます。増幅器部分で必要とする電源は、220V/70mA(35mA x 2)と195V/4mA(2mA x 2)、19.5V/1.5mA(0.75mA x 2)です。電源回路の部品点数をなるべく減らすために2ch分をまとめて供給とするので、必要なそれぞれの電流値は更に倍になります。

電源で一番分からないのが電源トランスです。同じ型番なら傾向は同じみたいですが、それでも負荷の有無、もっと厳密に言えば負荷のかかり具合でとれる電圧が変わってきて、無負荷状態がMaxで、最大負荷状態(全端子の取り出せる電流一杯いっぱいの状態)がMinです。特注でもしない限り、Maxの状態で使う事はないのでMax~Minの間のどこかを使う事になります。この様子はぺるけさんの小型電源トランスの整流出力特性のページが分かりやすいです。

6P34P-Eへの電源が220Vと低いのと、そこから取り出す電流が多い((70 + 4 + 1.5) x 2 = 151mA)のと、その割にヒータ部分で結構電力を食う(6.3 x 0.625 x 4 + 6.3 x 0.4 x 2 = 20.79W)ので市販の電源トランスではなかなか合う物が無い。でも特注するとなるとそれなりに割高になるというのがあり、ちょうど良いトランスが無い物かとあちこち探して、1個使えそうなのを見つました。ノグチトランスのPMC-190Mです。Web上でもやはり電圧が低いけどDC電流がそれなりに取れて、ヒータの巻き線もそれなりに容量があるかゆい所に手が届く的な存在の電源トランスの様です。

この電源トランスで行けるのか、電源部の詳細設計をしてみます。まず、出力段の電源は安定化しない事にします。安定化するには電圧が高いので部品点数が多くなるのと、設計が複雑になります。同じ要因でドライバ段の電源も安定化しません。後で記載しますが安定化しない場合はそれなりに実験的な事をする必要が出てきます。初段に関しては電圧も低い部類なのと、2SK30Aの耐圧がそれほど無いので、安定化します。それと負電圧ですが、E34Lの回路同様にダイオードの順方向電圧で作り出すことにします。以下に回路図を示します。具体的な値を記載していますが、下で説明です。

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E34Lのアンプでは出力段の電源はトランスから両波整流のダイオードを通過し、抵抗とコンデンサで構成した2段のLPFを使用していました。今回はこの部分をミニワッターで使用したFETによるLPFとする事にします。分圧も兼ねるのでこの部分が調整部分になります(56kΩと1.5MΩの記載のある抵抗部分です)。LPFのカットオフ周波数は56kΩの抵抗と47μFの電解コンデンサで決まります(0.061Hz)。この時に削られる電力分をFET(2SK3767)に肩代わりしてもらうので、熱量計算が必要になります。この時点でははっきりとはわかりませんが、180V端子の両波整流でDC190mAを採れる所を154mA程採る予定なので…240VくらいがFET前でそこから220Vまで下げると考えて、差分が20V、通る電流が154mAなので、3.08W……結構な電力を消費させますね…ケースに取り付ければ大丈夫かな? FET後は出力インピーダンスを下げるための電解コンデンサを仲介して出力段の電源とします。ドライバ段の電圧は195Vなので抵抗で電圧を下げます。14mAが通る予定なので、1.8kΩとしています。

初段の電源ですが、これは安定化するのでそれなりの回路が必要です。E34Lの時みたいにツェナーダイオード一発って手もありますが、少々凝ってみました。ツェナーダイオードを基準電圧としてトランジスタで電圧降下させる一般的な方法ですが。トランジスタのコレクタ側に付けている47kΩの抵抗はトランジスタの電力消費を抑える為です。ツェナーダイオードの上の56kΩの抵抗はツェナーダイオードに流れる電流の抑制です。ツェナーダイオードは流す電流によってツェナー効果で得られる電圧が変化するので、抵抗1本で安定化を確保しています。

トランスから得られる電圧が想定と異なった場合は多少であれば56kΩの抵抗を代える事で対応できます。実際問題、どうなるのでしょう。

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三段全段差動プッシュプルアンプ_6P43P-E(その1)

6P43P-Eを使った二段の全段差動プッシュプルアンプは実質解体判決となってしまったのでそのリベンジをしようと思い立ち、再び6P43P-Eを使用してアンプを作る事にしました。

前回の原因は結局の所わからず仕舞いです。いわゆる「好みに合わないアンプ」だったという事だと思います。そこで、回路構成を変更する事にしました。ただし、全段差動プッシュプルの音自体は気に入っているのでこの点は採用です。E34Lとの違いは出力と段数です。なのでこれらも採用して三段版を作成する方向で検討します。ドライバ段の歪みが大きい方が最終的に歪みの打消し(PPの場合は2次歪み)が強くなるようですし。

三段全てを真空管にする気はさらさら無く、初段はJFETにします。消費電力を少しでも減らせるように、且つスペースもそれなりに確保できる様に2段目は双三極管にを選択したい所。μが低くgmも高くはなく手持ちで有る球……という事で6BQ7Aを候補としました。出力トランスも前回とはなるべく異なる様に8kΩ品を選択します。

出力段のロードラインを引いてみます。
6P43P-Eは三結で14Wまで行けそうな記載もあるのですが、8kΩ(PPなのでロードラインは4kΩで引く)の出力トランスを使う場合、そこまで上げるとプレート電流をわんさかと流す事になります。なので、作成上無理の無い(自分の力量の限界を超えてしまわない)位置として、7.5Wとしました。そうする事で、プレート電圧 Ep=210V、プレート電流 Ip=35mA、バイアス=-23V くらいで線を引くことができます。内部抵抗 rp=1.2kΩ、増幅率 μ=7といったところでしょうか。利得は5.38倍。

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初段の設計
あれこれ悩みましたが、ぺるけさんの3段構成化のページ(3段構成における初段動作条件の設計)にある初段をそのまま使いました。出力段のバイアスが-23Vなので次段と合わせて16倍以上は必要ですが、実際問題どのくらい必要なのか決めかねてしまいました。なので、手持ちの2SK30Aの特性を加味してそのままを使う事にしました。ドレイン電流Id=0.75mA、ドレイン負荷抵抗Rd=10kΩです。gm=1.6、利得=16倍という内容もほぼほぼ同じ。実際にはソース側に差動調整用の抵抗を入れるので、15.4倍です。

ドライバ段のロードラインを引いてみます。
6BQ7Aを候補に挙げているのですが、ドライバ段って自由度が大きいので気が付いた条件を1つ1つ上げて最後はエイヤで決めました。負帰還を多くかけられる様に、でも電源部分は複雑にしたくないので出力段の電圧より低く。2次歪みの打消しに期待して大きく歪んだ領域を選択すると今度は3次歪みが増えてくるらしいのでEp-Ip特性の線が寝すぎない位置で。定電流回路も複雑にはしたくないので、JFETかCRDで賄える範囲で。等々で引いた線が下図です。

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水色の線が33kΩの線ですが、ドライバ段と出力段の間には出力段のグリッド抵抗 470kΩを入れる予定なので、交流的にはその合成抵抗に成り、それが黄色のロードラインになります。プレート電流 Ip=2mA、プレート負荷抵抗 RL=33kΩ、電源電圧 195V、バイアス -3V。この点における内部抵抗 rp=12.5kΩ、増幅率 μ=32.5、出力段のグリッド抵抗 Rg=470kΩ なので、利得は 23.13倍。

ここで忘れてはいけないのが隠れた存在のLPFです。出力段の入力容量とドライバ段の出力インピーダンス(+出力段のグリッド抵抗)によってLPFを形成してしまいます。これに関しても考慮が必要です。何せ三段にする要因の1つでもありますしね。LPFの詳細はぺるけさんの高域特性の改善のページが非常に参考に成ります。また、6P43P-Eの三結時のグリッド~カソード間の容量Cg-k、グリッド~プレート間の容量Cg-pの値はdiyaudioのフォーラムに書かれていたSPICEモデルの値から持ってきました(データシートに書かれているのは五極管として使用する時の値なので)。それと、発振防止につけている2.2kΩの抵抗。これらに実回路の影響を加味すると、カットオフ周波数はだいたい 278kHzになります。これなら影響無さそうです。

ここまでの内容で総合利得を求めてみましょう。
初段、ドライバ段、出力段共に各利得は上に記載しています。あと必要な利得は出力トランスの部分になりますね。インピーダンス比が 4000:8 で、実使用を考えるとロス分を含めて 1/24 = 0.04167倍 とします。無帰還時の総合利得はこれらの利得から計算すると、79.83倍になります。かなりの量を負帰還に回すことができそうです。


アンプ部の大まかな数値を出すことが出来たので、具体的な数値を入れた回路図を描いてみます。因みにお財布事情等で出力トランスはノグチトランスのPMF-25Pを使う予定です。可能ならISOのfc-25-8やファインメットコアのFT-25Pを使ってみたい気もします。

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負帰還量は後で調整できるように100Ωの可変抵抗にしています。また、高域発振防止に位相補正として2.2kΩの抵抗に330pFのコンデンサを抱き合わせています。これで遮断周波数 219.2kHzのフィルタとしています。また、スピーカの端子部分にはZobelフィルタを入れています……この値では、位相補正より先にZobelの方が効くのでは…160kHzなので…。


2018年07月15日追記
出力トランスのPMF-25PのP1-B、P2-B間の直流抵抗値を測ると150Ωでした。なので、出力段の電圧は215Vくらいが設定したロードラインにピッタリなのですが、220Vで設計を進めてしまったのとそこまでシビアになるに必要もないのでそのままとしています。

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全段差動プッシュプルアンプ(2SK30A-6SN7GT-E34L)の特性再計測

2007年11月に「情熱の真空管アンプ」という本に出会い、よく2008年に初めて真空管を使ったアンプを作成し、2011年6月に3段化を行った思い出深いかつ今もメインアンプとして活躍中のアンプです。

当時は計測機器もあまり揃えていなかったので、有り合わせの物で測定していました。今はそれなりに計測機器をそろえているのと、2014年くらいの時に元々出力管として使用していたElectro Harmonixの6CA7EH(ヤフオクで中古を入手)が1本突然動作しなくなってJJのE34Lに変えていた事もあり、現状の諸特性を計測してみることにしました(本当の切っ掛けは…色々と…)。

e34l_frequency_response.png

e34l_distortion_r.png

e34l_crosstalk.png

このアンプで使っている抵抗器がすべて炭素皮膜なんですね。当時は何も考えずに値段(安さ)で決めていましたが、温度特性等を加味すると金属皮膜抵抗の方が断然良いのでいつかは取り換えようとしてなかなか手を付けていませんでした。このアンプの音は長年聴いているだけあって超お気に入りなので、もう抵抗器を付け替えるのは諦めようと思ってます。それよりも、これを超えるアンプを作る事を目標に少しづつでも挑戦していきたいです。

全段差動プッシュプルアンプ_6P43P-E(その6)

音が落ち着いてきて、高音から低音までしっかりと出てくれてかつ透明感があるアンプに仕上がりました。ただ、やはりA2級動作の所が波形として気になります。なので、発振防止に入れている6P43P-Eのグリッド抵抗を2.2kΩから1kΩに減らしてみることにしました。

グリッド抵抗はソケット周りで最も深いところに配置していたので、取り換えには難儀しましたが、何とか取り換えることができました。で、その効果を試すべく、歪み率を計測してみました。

6p43p_distortion_r_1kohme.png

青色の線がグリッド抵抗2.2kΩ、赤色の線が1kΩ時の歪み率になります。全体的に若干改善した感じはしますが、若干です。それもA2級以外の所も改善しているということは…何かしらの別要因で改善した傾向が強いです。これはこれで嬉しい誤算なので、このままにすることにします。

歪み率ですが、左端がもう少し下まで下がりそうだったので1桁電力の小さい領域も測定してみました。

6p43p_distortion_r_1kohme_all.png

思惑は見事に裏切られ、0.01Wの時の値が底で後はノイズによって隠れてしまっていました。ここまで計測するとある意味スッキリしますね。

裏蓋を開けて色々しているうちについでにここにある様に出力段のバランスを計測する位置をチップジャックでケースの外に出してテスターで測りやすいようにしました。初期以外はそう頻繁に変更することもないので100Ωの多回転半固定抵抗は横型のままです。

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これは便利ですね。最初から採用しておくべきでした。お手軽調整の方法としては100Ωの多回転半固定抵抗をコパルのRJ-13Bをシャーシの上面に取り付けて調整する方法がありますが、これ、1回転なんですよね。15回転とかだと即採用だったのに…。

一通り変更が終わったところで、音楽を聴いてみると、以前に増して透明感がアップしているように感じます。何がその要因になったのかは…不明です。



2017年12月09日 更新
その後、様々な曲を聴いていると特定の低音がスッキリとは出ていない様に感じました。周波数特性上は低音部分に特定の周波数が減衰しているという事はなさそうなのですが。スピーカやその他の要因があるかも知れないですが、常用しているE34Lの全段差動プッシュプルアンプでは出る音である事と、比較的によく聴く楽曲(サカナクションのモノクロトウキョー、ルーキーのリズム音)で顕著に感じるので妥協できるポイントでは無いのです。出力トランスを変更(KA-6635PUL)して容量をUPしてみたりしたのですがこの点が改善されることはありませんでした。

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