三段全段差動プッシュプルアンプ_6P43P-E(その1)

6P43P-Eを使った二段の全段差動プッシュプルアンプは実質解体判決となってしまったのでそのリベンジをしようと思い立ち、再び6P43P-Eを使用してアンプを作る事にしました。

前回の原因は結局の所わからず仕舞いです。いわゆる「好みに合わないアンプ」だったという事だと思います。そこで、回路構成を変更する事にしました。ただし、全段差動プッシュプルの音自体は気に入っているのでこの点は採用です。E34Lとの違いは出力と段数です。なのでこれらも採用して三段版を作成する方向で検討します。ドライバ段の歪みが大きい方が最終的に歪みの打消し(PPの場合は2次歪み)が強くなるようですし。

三段全てを真空管にする気はさらさら無く、初段はJFETにします。消費電力を少しでも減らせるように、且つスペースもそれなりに確保できる様に2段目は双三極管にを選択したい所。μが低くgmも高くはなく手持ちで有る球……という事で6BQ7Aを候補としました。出力トランスも前回とはなるべく異なる様に8kΩ品を選択します。

出力段のロードラインを引いてみます。
6P43P-Eは三結で14Wまで行けそうな記載もあるのですが、8kΩ(PPなのでロードラインは4kΩで引く)の出力トランスを使う場合、そこまで上げるとプレート電流をわんさかと流す事になります。なので、作成上無理の無い(自分の力量の限界を超えてしまわない)位置として、7.5Wとしました。そうする事で、プレート電圧 Ep=210V、プレート電流 Ip=35mA、バイアス=-23V くらいで線を引くことができます。内部抵抗 rp=1.2kΩ、増幅率 μ=7といったところでしょうか。利得は5.38倍。

3diffpp_6p43pe_ei_01.png

初段の設計
あれこれ悩みましたが、ぺるけさんの3段構成化のページ(3段構成における初段動作条件の設計)にある初段をそのまま使いました。出力段のバイアスが-23Vなので次段と合わせて16倍以上は必要ですが、実際問題どのくらい必要なのか決めかねてしまいました。なので、手持ちの2SK30Aの特性を加味してそのままを使う事にしました。ドレイン電流Id=0.75mA、ドレイン負荷抵抗Rd=10kΩです。gm=1.6、利得=16倍という内容もほぼほぼ同じ。実際にはソース側に差動調整用の抵抗を入れるので、15.4倍です。

ドライバ段のロードラインを引いてみます。
6BQ7Aを候補に挙げているのですが、ドライバ段って自由度が大きいので気が付いた条件を1つ1つ上げて最後はエイヤで決めました。負帰還を多くかけられる様に、でも電源部分は複雑にしたくないので出力段の電圧より低く。2次歪みの打消しに期待して大きく歪んだ領域を選択すると今度は3次歪みが増えてくるらしいのでEp-Ip特性の線が寝すぎない位置で。定電流回路も複雑にはしたくないので、JFETかCRDで賄える範囲で。等々で引いた線が下図です。

3diffpp_6p43pe_ei_02.png

水色の線が33kΩの線ですが、ドライバ段と出力段の間には出力段のグリッド抵抗 470kΩを入れる予定なので、交流的にはその合成抵抗に成り、それが黄色のロードラインになります。プレート電流 Ip=2mA、プレート負荷抵抗 RL=33kΩ、電源電圧 195V、バイアス -3V。この点における内部抵抗 rp=12.5kΩ、増幅率 μ=32.5、出力段のグリッド抵抗 Rg=470kΩ なので、利得は 23.13倍。

ここで忘れてはいけないのが隠れた存在のLPFです。出力段の入力容量とドライバ段の出力インピーダンス(+出力段のグリッド抵抗)によってLPFを形成してしまいます。これに関しても考慮が必要です。何せ三段にする要因の1つでもありますしね。LPFの詳細はぺるけさんの高域特性の改善のページが非常に参考に成ります。また、6P43P-Eの三結時のグリッド~カソード間の容量Cg-k、グリッド~プレート間の容量Cg-pの値はdiyaudioのフォーラムに書かれていたSPICEモデルの値から持ってきました(データシートに書かれているのは五極管として使用する時の値なので)。それと、発振防止につけている2.2kΩの抵抗。これらに実回路の影響を加味すると、カットオフ周波数はだいたい 278kHzになります。これなら影響無さそうです。

ここまでの内容で総合利得を求めてみましょう。
初段、ドライバ段、出力段共に各利得は上に記載しています。あと必要な利得は出力トランスの部分になりますね。インピーダンス比が 4000:8 で、実使用を考えるとロス分を含めて 1/24 = 0.04167倍 とします。無帰還時の総合利得はこれらの利得から計算すると、79.83倍になります。かなりの量を負帰還に回すことができそうです。


アンプ部の大まかな数値を出すことが出来たので、具体的な数値を入れた回路図を描いてみます。因みにお財布事情等で出力トランスはノグチトランスのPMF-25Pを使う予定です。可能ならISOのfc-25-8やファインメットコアのFT-25Pを使ってみたい気もします。

3diffpp_6p43pe_ei_03.png

負帰還量は後で調整できるように100Ωの可変抵抗にしています。また、高域発振防止に位相補正として2.2kΩの抵抗に330pFのコンデンサを抱き合わせています。これで遮断周波数 219.2kHzのフィルタとしています。また、スピーカの端子部分にはZobelフィルタを入れています……この値では、位相補正より先にZobelの方が効くのでは…160kHzなので…。


2018年07月15日追記
出力トランスのPMF-25PのP1-B、P2-B間の直流抵抗値を測ると150Ωでした。なので、出力段の電圧は215Vくらいが設定したロードラインにピッタリなのですが、220Vで設計を進めてしまったのとそこまでシビアになるに必要もないのでそのままとしています。
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